君に、振り向いてほしいから
彼はそんな輝夜の様子に気付いているのか、いないのか、そのまま話を続けた。

「俺には、3つ下の妹が二人います。体が弱い妹を守るために、もう一人の妹と約束したんです。強くなって妹を守るって」

輝夜が難しい顔をして彼を見た。

「妹を守るために強くなるなら、Luciferの方が良いと思いますが?」

「輝夜!」

輝夜は僕をちらりと見て、彼に視線を戻した。

そのまま彼の正面に立つ。

「nightは遊び半分で入るところじゃないです。貴方が暴走族に入って、悲しむのは妹なんじゃないですか、珠木。それに、隣の君はなんですか?ずっと黙ってますけど。珠木に従うつもりですか。暴走族にはいってないのに、主従関係があるのはどうかと思いますが」

輝夜の口から、きつい言葉が飛び出す。

こうなると、輝夜は誰にも止められない。

唯一止めることができた叶多さんも、今はもういない。

その時、扉が勢い良く開いた。

「もう……もう、やめてください!」

そう言って転がり込んできたのは、nightの中でもトップクラスに強い琥珀さんだった。

「琥珀さん」

「面接官、この二人は俺の友達なんです。責めるのはやめてください!はやく、入れるか入れないか決めてください!」

琥珀さんがじっと僕を見つめた。

「……妹を守るために、強くなりたいんですね?」

「はい」

「……これから、よろしくお願いします」

彼は大きく目を見開き、嬉しそうに微笑んだ。

「こちらこそ、お願いします!」
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