君に、振り向いてほしいから
私は、どれだけ頑張っても、お母さんに褒められることはなかった。

私とお姉ちゃんの兄・飛空(ひそら)は中三。

末っ子の私は、お兄ちゃんとお姉ちゃんに可愛がられていた。

お兄ちゃんもnightに入っていて、よく連絡してくれる。

お父さんも、お母さんも、お兄ちゃんとお姉ちゃんを溺愛している。

私は虐待とかされているわけでもないから、特に気にしない。

お風呂に入り、私は早めに眠りについた。

次の日の朝、リビングが騒がしかった。

一回へ降りると、リビングから出てきたお兄ちゃんとお姉ちゃんが、満面の笑みで抱きついてきた。

「朝陽〜!久しぶりですね、元気にしてましたか?」

「朝陽、寂しくなかったか?」

お兄ちゃんに頷きつつも、お姉ちゃんの口調に違和感を覚える。

どうして、敬語を使っているんだろう?

お姉ちゃんがそっと私の手をひいた。

「朝陽、リビングに行きましょう」

リビングでは、見慣れない男の人と両親が楽しそうに喋っていた。

彼の瞳がお姉ちゃんをとらえる。

その途端、彼が嬉しそうに笑った。

それを見て、やっぱりお姉ちゃんは愛されてるんだな、と思う。

「優日、その子が朝陽ちゃん?」

「はい、私と飛空兄さんの妹です」

「そっかそっか。朝陽ちゃん、俺は白鈴叶多です。宜しくね」

叶多さんが優しく微笑んだ。

この人がkingだなんて思わない。

こんなに優しそうなのに。

「……それで、叶多。朝陽に伝えたいことがあるんだろ?」

「ああ、そうだね、飛空。朝陽ちゃん、満珠学園の風紀委員会寮に住んでみない?もう卒業して、満珠学園にも受かったんだよね?」

確かに私は、前に満珠学園に受かった。

でも……。お姉ちゃんの言う限り、風紀委員会寮に住むということはnightに入るということ。
< 38 / 84 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop