君に、振り向いてほしいから
今からそんな約束しちゃってたら、私の中学校生活と高校生活が危うくなっちゃう!

私の不安を察したのか、お兄ちゃんが優しく微笑んだ。

「大丈夫だ、朝陽。風紀委員会寮にすんだとて、どうってことない。総長の俺が言ってるんだ、安心しろ」

お兄ちゃん、総長だったんだ……。

「それだったら……良いですよ」

「ありがとう!じゃあ、俺はこれで」

叶多さんは軽く会釈して去っていった。

お兄ちゃんとお姉ちゃんは帰らないんだ。

「久しぶりね、飛空くんと優日ちゃんが帰ってくるの。も〜、朝陽ちゃんったら、全然私と話してくれないのよ〜」

二人が帰ってきて、お母さんはご機嫌だ。

お兄ちゃんとお姉ちゃんは苦笑すると、私の手をひいて上へと上がった。

そのままお姉ちゃんの部屋に入る。

お姉ちゃんは鍵を締めると、椅子に腰掛けた。

「じゃあ、朝陽。nightのことを説明するな」

「うん」

「nightは基本的に、kingを中心に構成されているの。だから――」

「優日」

お兄ちゃんが厳しい目でお姉ちゃんを見た。

途端、お姉ちゃんがしょんぼりと項垂れた。

どうしたんだろう?

「queenは基本的に敬語で話さなければならない。それが家族であっても、だ」

「……本当に、こんな決まりをつくった飛空兄さんを恨みます」
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