君に、振り向いてほしいから
階段をのぼってすぐの部屋に入る。

瑠水ちゃんの姿を確認すると、彼女の体を抱き上げた。

……なるほどね。

聖夜がnightの絶対的トップ、kingなわけね。

「おい、はなせよ」

あはっ、聖夜、ムキになってる。

「あはっ、悪いね、聖夜!瑠水ちゃんは貰ってくよ」

後ろを振り返ると、空橋が金属バットを持って僕に飛びかかってきた。

まずいっ、間に合わない!

瑠水ちゃんが僕の腕から飛び降り、空橋の金属バットを蹴り飛ばし、首にもけりをいれた。

え?

一瞬の出来事に、聖夜と顔を見合わせた。

ふらりと瑠水ちゃんがよろめいた。

慌ててその体を支える。

瑠水ちゃんは何かをこらえるようにぎゅうっと目をつぶり、やがて小さく微笑んだ。

やめて……。そんな無理に笑わなくて良いから……。

そう言いたいのに、言葉が出てこない。

「瑠水ちゃん……?」

「あはっ、びっくり、しましたか?」

優しい笑みを残し、瑠水ちゃんは気を失った。

彼女を抱きかかえ、階段をおりる。

一番最初に入った部屋に入る。

そこには、璃空さんと掴みあっている波の姿があった。

「凪!瑠水を見つけたのか……?」

波は瑠水ちゃんを見ると、大きく目を見開いた。

「璃空さん、琥珀さん、翠さん、ななほちゃん。瑠水ちゃんを連れてきた以上、もうnightのふりをする必要はないんです。早く、僕らと一緒に!」

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