君に、振り向いてほしいから
璃空さんは小さく頷き、ななほちゃんたちを連れて寮の外に出た。

「お前ら!帰るぞ、来い!」

一緒に来たメンバーが集まったのを確認すると、波は寮の外に出た。

寮から離れると、波は璃空さんを振り返った。

璃空さんは僕から瑠水ちゃんを受け取ると、彼女の手首に手を触れた。

「……やっぱり、再発か。瑠花、救急車を呼んでくれ」

瑠花ちゃんは不思議そうな表情をしつつも、大人しく救急車を呼んだ。

数分後、救急車が到着した。

中から二十代ぐらいの看護師さんが出てきた。

彼女は璃空さんに駆け寄ると、心配そうに瑠水ちゃんを見た。

彼女の後ろから、担架をもった人が降りてきた。

瑠水ちゃんを担架に乗せ、救急車は去っていった。

看護師さんは僕たちを見ると、小さく頭を下げた。

「はじめまして、花根舞雪(はなね まゆき)です。瑠水ちゃんの看護師をしています。……瑠水ちゃんの病気を説明するので、一緒に来ていただけると」

花根さんについて行き、大きな車に乗り込んだ。

ついたのは、満珠病院よりも大きな病院。

花根さんはその病院に入り、部屋の扉を開けた。

中の椅子には、優しそうな男の先生が座っていた。

「あ、来ましたね。僕は二階堂翼(にかいどうつばさ)です。どうぞ、座っていただいて」

指示通りに椅子に座る。

「瑠水さんは心不全です。倒れた原因は再発かと。今、うちの手術チームが行っている手術の結果によりますが、おそらく、余命宣告をさせていただくかと」
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