君に、振り向いてほしいから
こんなことを思っても良いのかは分からないけど、瑠水ちゃんは可哀想だ。

病気にかかってしまったせいで、ろくに学校にも行けない。

病気さえなかったら、瑠花ちゃんのように明るい子になっていたはずなのに……。

でも、楽しそうな瑠水ちゃんを見ると、そんなことは言えなくなってしまう。

「……さて、そろそろ帰りますか。じゃあね、瑠水。また来るね」

「はい。先輩も、また来てくださいね」

瑠水ちゃんが優しく微笑む。

一見幸せそうに見えるその笑顔にも、少しだけ悲しみの色が見える。

とりあえず彼女に手を振り、病室を出て、ロビーに戻る。

そこでは、数人の男子が暴れていた。

「……nightか」

波が小さく呟く。

night……。それは、満珠学園にある第二の暴走族。

奴らは、周りに迷惑をかけている暴走族の一つだ。

瑠花ちゃんを見ると、彼女は厳しい目で彼らを見ていた。

「……瑠花ちゃん?」

瑠花ちゃんは僕を見ると、不思議そうに首をかしげた。

「どうしましたか?」

その瞳には、さっきの厳しい色はなかった。

瑠水ちゃんみたいだな、と思う。

自分の感情を抑え、平気なふりをする。
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