君に、振り向いてほしいから
「……残された家族はどうなる?瑠花を失って、一年後、瑠水も失って」

「……璃空にいとりみかがいます」

波先輩の両目が釣り上がる。

どうして、そんなに怒るんだろう。

生きようが死のうが、私の勝手なのに。

ベンチに腰掛けた波先輩は、そっと私を見た。

「死にたいのなら死ねば良い。だが、瑠水の為に死ぬのはやめろ」

私、瑠水の為に、死のうとしてた……?

「……ごめんなさい、波先輩……。私、とんでもないことをするところでした……」

波先輩が止めてくれなかったら、きっと今頃……。

波先輩は優しく微笑み、私を抱きしめた。

「もっと俺に頼れよ」

彼は、耳もとでそっと囁いた。

「辛いなら逃げていい。ただ、俺に話せるなら話してみろ。月紀でも、陽暉でも良い」

波先輩がそっと体を離す。

どうしよう……、こんなときなのに……。

私、波先輩のこと……好きになっちゃった……。

「好きだ、瑠花。この世の誰よりも、好きだ。俺と、付き合ってくれないか?」

「……私で良いのなら……」

波先輩の顔が喜びで溢れていく。

瑠水が大変なときだけど、幸せを感じても良いよね?

「戻るか」

手を繋いで病院へ戻る。
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