君に、振り向いてほしいから
周りから、女の子の声が聞こえた。

やっぱり、私なんかが付き合ったら駄目なのかな?

私の不安を感じ取ったのか、波先輩が私の頭を優しくなでた。

そのまま、波先輩の顔が近づいてくる。

私の唇の上に、優しいキスが降ってきた。

あたりから悲鳴があがる。

私から顔を離した波先輩は、何事もなかったかのように歩き出した。

「……な、波先輩?」

「あははっ、瑠花、顔真っ赤だ。俺のことは波でいい。ほら、波って呼んでみ?」

「波……さん」

波さんは頷くと、優しく微笑んだ。

「今はそれでも良い。さっきのは他の男への警告だ」

警告?どうして?

でも、さっきのキスは……。嬉しかった。

病室に入ると、凪先輩が焦ったようにこちらへ駆け寄ってきた。

ベッドの上では、瑠水も安心したように笑っている。

「瑠花、無事で良かったです」

しばらくして、私達は病室を出た。

三人で生徒会寮に向かう。

部屋に戻るのかと思ったけど、何故か『集会所』と呼ばれているところへ連れて行かれた。

中には、沢山の人が座っている。

月紀の横の椅子に座ると、波さんがステージに飛び乗った。

「俺達は二週間後、nightともめることになった。nightから、決着をつけたいと申し出があった。璃空さんと翠、琥珀とななほはnight側として戦う」

所内がざわついた。
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