君に、振り向いてほしいから
中にいた宙さんが、嬉しそうに駆け寄ってきた。

「瑠水ちゃん、凪さん!」

「お疲れさま、宙。叶多も、朝陽ちゃんたちもおつかれ」

知り合いかな?

衣装姿のすずとあさひがこっちに来る。

「瑠水ちゃんだよね、宙から聞いてるよ」

「かわいい〜」

leansともたくさん話し、ホールを出た。

ちらりと凪先輩を見上げる。

車椅子を押して疲れているはずなのに、その顔は晴れ晴れとしていた。

「……僕ね、瑠水と一緒にいれて嬉しいんだ。瑠水の笑顔がこんなに近くで見れて、いっぱい話せて。すっごく幸せだよ」

凪先輩がぽつりと呟いた。

そのきれいな瞳から、一筋の涙が溢れる。

「僕、瑠水がいなくなるのが怖いんだ。情けないよね」

俯いて小さく震えている背中。

私はそっと立ち上がり、彼の背中に抱きついた。

「大好きですよ、凪さん」

ゆっくりと凪さんが振り返った。

彼の頬を流れる涙をそっと拭う。

凪さんが落ち着くのを待って、私たちは満珠学園に戻った。

ベッドに入り、目を閉じる。

今日一日、すごく楽しかった。

凪さんと一緒にいれて、嬉しかった。

私は、幸せな気持ちで眠りについた。

翌朝、目を覚ますと、凪さんの顔が目に入った。

「凪さん!?」

慌てて飛び起きると、凪さんはなんてことないように私をベッドに寝かせた。
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