君に、振り向いてほしいから
「おはよう、瑠水。今日は一緒にゲームしようか」

微笑んだ凪さんは、手に持ったゲーム機を軽く持ち上げた。

ほんとに、毎日来てくれるなぁ……。

一人よりは楽しいからいいけど。

テレビにゲーム機をつなぎ、二人でゲームをする。

「凪さん、強くないですか?」

「いっぱいやってるからね」

凪さんが得意げに微笑む。

ドアがノックされ、波先輩が入ってきた。

「おい、凪!学校サボって瑠水と遊んでるのか?」

「良いじゃん、べつに。僕は瑠水と遊びたいの」

波先輩は一瞬目を見開くと、自身の背後を振り返った。

「瑠花も見舞いに来たいんだからさ、少しは遠慮しろよ」

波先輩の背後から、瑠花がそっと姿を表した。

「瑠花!」

久しぶりに見る瑠花の姿に、思わず笑みがこぼれる。

瑠花も嬉しそうに笑いながらこっちに来た。

瑠花が私に顔を近づける。

「瑠水、私ね、波さんとお付き合いすることになったんだ」

えっ?いつのまに?

瑠花は恥ずかしそうに微笑むと、ちらりと波先輩を見た。

波先輩は凪さんとなにか話している。

「瑠水が眠ってるとき、廃ビルの上で告られたんだ」

「凄いですね、瑠花!良かったですね」

私の声に、波先輩たちがこっちを向いた。

「どうしたの、瑠水」

「いえ、瑠花から良いお話を聞いたので」

瑠花の顔が一瞬で赤くなった。
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