君に、振り向いてほしいから
海が悔しそうに下唇を噛む。

彼の後ろには、瑠花ちゃんが困ったような表情で立っていた。

そうだ、瑠水ちゃんを取られて一番不安で一番辛いのは、瑠花ちゃんだ……。

悔しいけど、瑠水ちゃんが連れて行かれたのは僕たちのつめが甘かったから。

それでも、瑠花ちゃんは連れて行かれなかったから、おあいこってとこかな。

「海さん!nightの奴らが出たって聞いたんですけど……」

「宙、来るのが遅いぞ」

海が呆れたように池宮宙(いけみや そら)を振り返った。

宙は海の後輩で、中学二年生。

「すみません。それよりも、どうしてnightが?」

「分からない。けど、羽宮が動いたってことは……。奴らにとって、すごく大事なことだと思う」

波が瑠花ちゃんを振り返る。

「お前が望むのなら、俺たちが瑠水を助けてやる。どうする?」

瑠花ちゃんは俯くと、僕たちをまっすぐ見つめた。

「……考えておきます。それと、紹介したい人がいます。来てもらっても良いですか?」

僕たちが瑠花ちゃんに着いていくと、彼女は中等部の食堂へと入った。

中では女の子が一人と男子が4人、向かい合って座っていた。

瑠花ちゃんは女の子の横に座り、僕たちも正面に座った。

「……で?紹介したい人っていうのは?」

「はい。瑠水を助けるのに力になるであろう人たちです。」
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