君に、振り向いてほしいから
波先輩は納得したように頷くと、そっと瑠花の肩を抱いた。

瑠花がますます赤くなる。

「俺らが付き合ったことだろ?」

「はい。おめでとうございます」

ほんの少しだけ、波先輩の顔が赤くなった。

意外と可愛いんだな。

凪さんが私のネックレスを波先輩に見せた。

波先輩が目を見開く。

「渡せたのか?」

「うん。一緒に選んでくれてありがとう」

凪先輩は嬉しそうに笑った。

「このネックレスね、波も一緒に選んでくれたんだ」

「凪のやつ、二時間ぐらい迷ってたぞ。愛されてるな、瑠水」

波先輩が優しく笑い、私の耳もとに顔を近づけた。

「そのネックレス、告白に成功したら渡す予定だったらしいぞ」

いたずらっぽく笑って顔を離した波先輩は、瑠花の首もとに手を伸ばした。

彼がそっと掴んだのは、薄い瑠璃色の石が真ん中にはめこんである、花のネックレスだった。

瑠花によく似合ってる。

瑠花は私がネックレスを見ているのに気づくと、はにかむように笑った。

「波さんがプレゼントしてくれたの」

ラブラブだなぁ。

凪さんも同じことを感じたのか、嬉しそうに二人を眺めている。

波さんと瑠花には、幸せになってほしい。

私はもう長くはないから、凪さんと幸せになれない。

だから、私の分まで、他の人たちに幸せになってほしい。
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