君に、振り向いてほしいから
そう思ったとき、心臓がずきりと痛んだ。

また、だ……。心配かけたくないのに……。

凪さんが慌てて駆け寄ってくる。

その心配そうな表情を見て、心が痛くなった。

そんな表情してほしくないのに……。

「瑠水、大丈夫?瑠水!」

大好きな凪さんの声を最後に、私の意識は途切れた。

何かが頬に触れる感触に、そっと目を開けた。

心配そうな表情をした凪さんが、慌てて指を引っ込めた。

さっき触れたのは、凪さんの指かな。

ぼんやりとした意識の中、病室を見回す。

「瑠水ちゃん……。おはよう」

泣きそうな表情をしている凪さんが、そっと私の頭を撫でる。

どうして、そんな表情をしているんだろう……?

ドアが開き、お医者さんが入ってきた。

「落ち着いて聞いてね。瑠水ちゃん、君は、7ヶ月以上意識がなかったんだ。余命は一週間かな。目覚められたことが奇跡だよ」

一週間……?

私がいっぱい寝てたから、それだけしか……。

もっと、先輩と話したかった。もっと、cosmosのみんなと話したかった。

まだ、死ねないのにっ……。

ぽろぽろと涙がこぼれる。

同じように涙を流しながら、凪さんが私を抱きしめてくれた。

久しぶりの凪さんの匂い……。落ち着く。

「いっぱいやりたいことをしよう。何がしたい?」

私が落ち着くのを待って、凪さんが優しく問いかけた。
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