センチメートル
2 複雑
中庭のベンチで話す二人。
放課後だから誰も来ないと思って話していたんだろう。
ジュースなんて
買いに来なければよかった。さっさと部活に行っておけばよかった。
今すぐ、言ってやろう。
「お前なんか、最低だ!嫌いだ!今すぐ別れてやる!」
そう思って、一歩踏み出す。するとその振動で
ぽろりと、涙が床におちた。
「……っ」
悔しい。どうして、あんな奴のせいで
私はこんなに胸を締め付けられているんだろう。
こんなに苦しいんだろう。
私はただ廊下を走った。
あの場から逃げ出したくて、必死で。
めったに泣かない私が、こんなに泣いている。自分でも不思議だった。
私はこんなにも慎吾を好きになっていた。
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