センチメートル
お風呂からあがると、あたらしく着信が2件。
ひとつは広瀬くんから。
もうひとつは
「…慎吾…」
滅多に来ない慎吾からのメール。バイトで忙しいとか、言っていたのを覚えている。
前は慎吾からのメールに馬鹿みたいに喜んでいたけれど、いまはただ、開くのが怖い。
別れようとか
言われたらどうしよう。
ぷるぷると携帯を持つ手が震えた。まだ好き。慎吾が、まだ好き。だから別れが怖い。
慎吾が私のことを好きではなくても、私はまだ、慎吾が…。
ピッという機械音。
開かれたメール。その内容にふうと一息ついた。
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09/XX/XX 23:22
from:諏訪部 慎吾
バイト代入った
明日、部活あとに
いつものところな
― END ―
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いつもの軽さからは想像もできないくらい、淡白なメール。
どうして好きでもない私を、こうやってデートに誘うのだろう。
「いつものところ」
それは初デートでいったお洒落なカフェ。そのころから、いつも通っている。
土日の部活帰りに、ときどきこうやって慎吾とデートをする。これが私の楽しみでもあった。
明日は土曜日。午前中にある部活のせいでいつも制服。
まあ、可愛い服なんてそんなにもっていないからいいけど。
明日こそは、別れ話だろうか。
また、目から涙があふれてきた。いつも楽しみだったこのデートが、こんなにも苦しくなるなんて。
簡単に返信をして、私は深い眠りについた。
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