センチメートル
部活の帰り、広瀬くんにお礼をいいに言った。
「広瀬くん!」
「ん?どうしたの、皆川」
いつもの爽やかスマイル。ああ…癒される…!でもやっぱり、慎吾のとは、違うんだよね…ってなんであの馬鹿と広瀬さまを比べるんだ私は!
ごめんね広瀬くん、そして私の脳内から消えろ、馬鹿慎吾!
「皆川?」
「うわっ!」
「大丈夫?百面相してたよ」
考え事をしていて気づかなかった。私から話しかけといて…自分の馬鹿!
「変な顔だなぁ」と笑う広瀬くん。何気にデリカシーがない。天然?いや、私が本当に変な顔をしてたんだな。恥ずかしい…。ちくしょう、慎吾め。
「あの、広瀬くん、部長に休みますって言ってくれてありがとう!」
「あ、うん、あはは、部長言っちゃったんだ」
「うん…本当にありがとう」
「どういたしまして。でも…ばれちゃうな」
「え、何が?」
「んー…内緒」
「えー!」
くすっと笑って、広瀬くんは踵を返した。それから振り返った広瀬くんは、天使の笑顔。
「皆川、部活にでないときは友達にぐらい伝えなよ!友達、心配してたよ」
「あっ、うん…!」
「じゃあ、またね」
そういって広瀬くんは手を振りながら帰って行った。
広瀬くんは、本当に、天使だ!振り返ったときの笑顔はまさに天使の微笑み。モテるんだろうな。
私もカフェに向かって歩き出す。そしたら慎吾のことを思い出し、すこし暗い気持ちになった。
「別れ話、されませんよーに」
広瀬くんのエンジェルスマイルを念頭に
慎吾のまつカフェへ向かった。
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