センチメートル


部活の帰り、広瀬くんにお礼をいいに言った。



「広瀬くん!」


「ん?どうしたの、皆川」



いつもの爽やかスマイル。ああ…癒される…!でもやっぱり、慎吾のとは、違うんだよね…ってなんであの馬鹿と広瀬さまを比べるんだ私は!
ごめんね広瀬くん、そして私の脳内から消えろ、馬鹿慎吾!



「皆川?」


「うわっ!」


「大丈夫?百面相してたよ」



考え事をしていて気づかなかった。私から話しかけといて…自分の馬鹿!

「変な顔だなぁ」と笑う広瀬くん。何気にデリカシーがない。天然?いや、私が本当に変な顔をしてたんだな。恥ずかしい…。ちくしょう、慎吾め。



「あの、広瀬くん、部長に休みますって言ってくれてありがとう!」


「あ、うん、あはは、部長言っちゃったんだ」


「うん…本当にありがとう」


「どういたしまして。でも…ばれちゃうな」


「え、何が?」


「んー…内緒」


「えー!」



くすっと笑って、広瀬くんは踵を返した。それから振り返った広瀬くんは、天使の笑顔。



「皆川、部活にでないときは友達にぐらい伝えなよ!友達、心配してたよ」


「あっ、うん…!」


「じゃあ、またね」



そういって広瀬くんは手を振りながら帰って行った。
広瀬くんは、本当に、天使だ!振り返ったときの笑顔はまさに天使の微笑み。モテるんだろうな。


私もカフェに向かって歩き出す。そしたら慎吾のことを思い出し、すこし暗い気持ちになった。



「別れ話、されませんよーに」



広瀬くんのエンジェルスマイルを念頭に
慎吾のまつカフェへ向かった。



_
< 9 / 12 >

この作品をシェア

pagetop