ハーフ☆ブラザー 突然出てきた弟に溺愛されてます!
やるせなさそうに目を細め、大地が私に微笑んだ。
泣きそうな微笑みに、思わず、デコピンを見舞ってやった。

「もしもだとか、仮定の話をするんじゃないわよ。結果オーライだって、思っておけばいいじゃない」
「……うん、そうだよね」

弾かれた額を押さえる大地を見ながら、私は気になっていたことを口にした。

「にしても、父さんってば、私と大地が、すぐにでも結婚するかのような喜び方だったわよね。まったく……気が早いっての!」

ポンッと、寝ている父さんの肩を叩いた。
ベッド脇で膝をついていた大地が、驚いたように私を見上げた。

「え……? お父さんに、僕達の結婚のこと、話しちゃまずかった?」

今度は、私が驚く番だった。
……はい? なんですと?

「ちょっと待って。私、あんたと結婚するなんて、いつ言った?
だいたい私たち、結婚について話し合ったこともなかったし……それに、プロポーズだって……」

言いながら、急に気恥ずかしくなり、語尾が小さくなってしまう。
……イイ歳して、何言ってんだ、私。
いまさら段階踏んで欲しいも、ないもんだわ。

「あー、ごめん。今の、聞かなかったことにして」

大地に背を向けて、部屋をあとにしようと、ドアノブに手をかける。
瞬間、開きかけた扉がパタンと閉ざされた。

大地が、私を取り囲むようにして両腕を伸ばし、ドアが開くのを阻止したからだ。

「……まいさんは、僕と結婚するなんて、考えられない?」
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