ハーフ☆ブラザー 突然出てきた弟に溺愛されてます!
「……なんだか、夢みたいだ。まいさんからそんな風に、言ってもらえるなんて」

大地はふふっと笑った。
目を開けて、いたずらっぽく私の瞳をのぞきこむ。

「ねぇ、夢じゃない証拠に……まずは、これから一晩中、まいさんを僕に、独り占めさせて?」

艶めいたささやきに応えて、私は大地の首の後ろに腕をまわした。瞬間、盛大な咳払いが聞こえた。

……ヤバイ。
ここ、父さんの部屋だった……。

「───あ、お父さん。目を覚まされたんですね。僕、お水持ってきますね」

何事もなかったかのように父さんを振り返り、大地は部屋を出て行った。
続きはあとでね、と、私の耳にささやくのを忘れずに。

「………………大地くんは、お前を相手にすると、いつも、あんな感じか?」

父さんと二人きりにされ、気まずい思いでいると、父さんの方から声をかけてきた。

私は答えに詰まった。
父さんが、かなりショックを受けているみたいで。

父さんにとって大地は、さわやかな好青年でしかなかったのだろう。
そう思うと、急に父さんが気の毒になってしまった。

「うん、そうだけど……。
でもね、父さんに見せている顔だって、まぎれもなく大地なんだよ? 別に大地は、父さんをだましていたわけじゃないからね?」
「あぁ、いや、そういう意味で訊いたわけではないんだ。なんというか……」

ベッド脇に足を下ろし、父さんは息をついた。横顔に、苦笑いが浮かぶ。

「お前には、ああいう風に甘えているんだと知って、ホッとしたというか。
大地くんは、人に気を遣い過ぎるきらいがあるだろう? それは、彼の長所でもあると思うが……本人が息苦しくならないか、心配だったんだ。
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