ハーフ☆ブラザー 突然出てきた弟に溺愛されてます!
それで酒をすすめてみたりして、本音を引きだそうとしたんだが……父さんの方が、先に酔いつぶれてしまったようだな。失敗した」
がっくりと肩を落とす父さんに、思わず噴きだしてしまう。
「……何それ。父さん、情けないわね」
「───舞美」
ふいに父さんが、真面目な顔を私に向けた。
真剣な眼差しに、笑うのをやめて父さんを見返した。
「大地くんを、幸せにしてやりなさい。それは、お前にしかできない……お前だからこそ、できるはずのことだから」
私は大きくうなずきかけて、ふと浮かんだ疑問に、眉を寄せた。
「ちょっと待って。おかしくない? 普通そういう場合、
『大地くんに幸せにしてもらいなさい』
って、言うところじゃないの?」
私の問いかけに、今度は父さんが声にだして笑った。
そこへ、大地が恐縮したように、部屋に入ってきた。父さんに、グラスを差し出す。
「すみません。先に、片付けを済ませてしまったので……お水、遅くなりました」
「……いや。大地くん、ありがとう。
───二人とも、私のことは、気にしなくていいからな」
言外に、大地と二人きりになるのをうながされたようで、一瞬で身体中に火がついたように恥ずかしくなったのだけど。
隣にいた大地は、まったく意に介さずに、にっこり笑ってうなずいてみせた。
「では、お言葉に甘えて失礼します。お休みなさい、お父さん」
「お休み、大地くん。……あぁ、舞美。さっきの答えだがな」
恥ずかしさのあまり、そそくさと部屋を出て行きかけた私を、父さんが呼び止めた。
「お前はもう、十分に幸せだろう?」
続く言葉は、なかった。けれども私は、父さんの言いたいことに気づいた。
───大地が、いる。
それだけで、私はもう、満たされてしまっているのだから……。
がっくりと肩を落とす父さんに、思わず噴きだしてしまう。
「……何それ。父さん、情けないわね」
「───舞美」
ふいに父さんが、真面目な顔を私に向けた。
真剣な眼差しに、笑うのをやめて父さんを見返した。
「大地くんを、幸せにしてやりなさい。それは、お前にしかできない……お前だからこそ、できるはずのことだから」
私は大きくうなずきかけて、ふと浮かんだ疑問に、眉を寄せた。
「ちょっと待って。おかしくない? 普通そういう場合、
『大地くんに幸せにしてもらいなさい』
って、言うところじゃないの?」
私の問いかけに、今度は父さんが声にだして笑った。
そこへ、大地が恐縮したように、部屋に入ってきた。父さんに、グラスを差し出す。
「すみません。先に、片付けを済ませてしまったので……お水、遅くなりました」
「……いや。大地くん、ありがとう。
───二人とも、私のことは、気にしなくていいからな」
言外に、大地と二人きりになるのをうながされたようで、一瞬で身体中に火がついたように恥ずかしくなったのだけど。
隣にいた大地は、まったく意に介さずに、にっこり笑ってうなずいてみせた。
「では、お言葉に甘えて失礼します。お休みなさい、お父さん」
「お休み、大地くん。……あぁ、舞美。さっきの答えだがな」
恥ずかしさのあまり、そそくさと部屋を出て行きかけた私を、父さんが呼び止めた。
「お前はもう、十分に幸せだろう?」
続く言葉は、なかった。けれども私は、父さんの言いたいことに気づいた。
───大地が、いる。
それだけで、私はもう、満たされてしまっているのだから……。