ハーフ☆ブラザー 突然出てきた弟に溺愛されてます!
私が一人っ子だってことは、多香ちゃんも知ってるし、弟とは言えない。
事実そうでも、成り行きとはいえ、昨晩ヤッてしまったことを考えると、なおさら。

かといって、その場かぎりの嘘をつき、実の弟をつかまえて彼氏だなんて、言えるはずもなかった。

はぁっ……。
イイ歳して、何やってんだ、私。

やっぱり、一緒に育ったわけじゃないから、血の繋がりを実感できないのが一番の原因かも。
姉弟だって言われても、どこかで他人のような気もするし。

あーあ……。

仕事を終え重い足取りのまま、ショピングセンター内の二階にある、ロッカールームへと向かう。

防火扉を身体を預けるようにして開け、従業員専用の通路に入ると、むっとした生暖かい空気に包まれた。

店内との温度差の違いは明らかで、効きすぎの冷房により冷えた身体にはホッとする時もあるけど、今日は逆だった。

蒸し暑さのあまり、胸元を飾ったリボンタイを外しながら、あっちーよ、と、ぼやきつつ階段を昇る。

『健康と節電のために階段を使いましょう』
などと、貼り紙がしてあるエレベーターを尻目に、私はいつも、従業員階段を使っていた。

単に、エレベーターが苦手なのと、ささやかな運動不足解消のためで、貼り紙の文言に同意しているためではなかった。

ロッカールームには、一列20人分ほどのロッカーが六列ある。入り口から見て、一番左側の奥から数えて三つ目を使用していた。

エアコンの設定温度が高いのか、気温が上がる今頃は、毎年、汗でベタつきながらの着替えが、ものすごく苦痛だった。
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