ハーフ☆ブラザー 突然出てきた弟に溺愛されてます!
「えー? それとこれとは、話が別じゃない?
僕、お父さんには、ちゃんと感謝しているよ?
しらばっくれることだってできたはずなのに、浮気相手の子を引き取って、面倒みてくれているんだから。
ここに来る前に、僕の遠い親戚や学校関係のことも、いろいろ配慮してもらったし。
お小遣いだって、僕が今まで母からもらっていた額の倍以上くれて。
本当にお父さんには、いくら感謝しても、したりないくらいだよ」

───失言だったと思う。
なんでもないことのように言う大地は、自分の立場をわきまえていて。
ずっと感じていたことだけど、甘えた幼い口調のわりに、言っている内容は、どれも『大人』だ。

「なら、いいけど……」

尻すぼみに語気が弱くなる。
なんだか、居たたまれなくなった。

父さんの浮気は(ゆる)せないし、腹も立つけど、その果てに生まれた大地には、なんの落ち度もないのだ。
子供に罪はないと、よく聞くけど……本当に、その通りだと思う。

サラダボウルに野菜を盛りつけていると、ふと、大地の言葉が思い返された。
大地のお母さんは、昼も夜も働いていたって、言っていたことを。

つまり父さんは、今まで大地達に、金銭的な援助をしてこなかったってことだ。
自分の子供に対して、責任を負ってこなかったって、ことだ。

「僕が言いたいのはね」

父さんの仕打ちを思って眉を寄せていると、ふいに大地の声が、耳元でした。と、同時に、温もりが背中を包む。

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