ハーフ☆ブラザー 突然出てきた弟に溺愛されてます!
「何?」

ちょっと笑って、事もなげに見返される。向けられた穏やかな眼差しに、鼓動が速まる。
アルコールのまわった身体は、さらに熱を帯びた。

「髪、濡れてるじゃないのよ。ちゃんと乾かせって、言ったのに」

言い訳にしかならないごまかしをして、缶に残っていたビールを(あお)る。

「んー……。でも、ある程度はタオルドライしたんだよ? あとは僕、基本的に自然乾燥派だし」

髪を指で一房つまんでみせる。それから、私に向かって微笑んだ。

「そっか。まいさん、僕が風邪ひいたりしないか、心配してくれてたんだっけ?
でも、平気だよ。僕、こう見えても身体は丈夫な方なんだ。滅多に風邪ひいたりしないし」

そこで、ふふっと笑う。熱くなった頬に、大地の冷たい指先が触れてきた。

「優しいお姉さんで、僕、嬉しいな……」

フルーティフローラルの香りが、むせるくらい強く、鼻につく。
頬を伝った指先に髪を()かれ、甘い香りを呼吸するように、大地の唇を受けとめた。

アルコールの入った身体は妙に官能的で、触れた唇も舌も、溶けていきそうに心地よい。

速度を増していく胸の高鳴りに水を差したのは、大地の飲みかけの缶に、手がぶつかったことによってだった。

ひやりと肌に伝わる感覚と、パジャマの上から肌をなで伝う指の感触が、アンバランスで……心を、現実へと引き戻された。

ぐいと、大地の肩を押し返す。

「……っ……は、……だめっ……やめて、離して!」
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