ハーフ☆ブラザー 突然出てきた弟に溺愛されてます!
身もだえて、ようやく身体と心を支配した束縛から、抜け出す。
よろめきながら家の中に入り、リビングのソファーの横で力尽きて、座りこんだ。

───力が、入らない。
また、やってしまった……。

窓の締まる音がして、大地が入ってくる気配がした。気まずい沈黙ののち、大地が静かに言った。

「まいさんが嫌だってこと、する気はないけど。その気がないなら、もっと早く態度で示してよ。
僕だって……傷つくことくらい、あるんだよ?」

私が飲み干したビールの缶と、自分の飲みかけの缶を持って、大地が私の横を通りすぎる。
キッチンの方で、ゴミ箱に缶が投げ捨てられる音がした。

「……大人げなくて、悪かったわね!」

まったくもって、大地の言う通りだった。

嫌なら、もっと早く拒絶すれば良かったはずだ。でも───嫌じゃないから、拒めなかったんだ……。

思い知らされた事実に、吐き捨てるようにして、大地の背中に言い放つ。

「いい歳して、高校生相手に欲情するような、バカな女なのよ。もうじき三十にもなるっていうのに……!」

悔しいやら情けないやらで、涙がにじんできた。

ホント、私ってば、どうかしてる……。

うつむいて乱暴に目じりを拭っていると、頭上に影ができた。
大地が、私の側にかがみこんでいた。困ったような顔をして、のぞきこんでくる。

「……泣かせちゃったね。子供で、ごめんね」

いたわるような優しい声音が、本人の言葉を否定していた。気づかされて、大きく首を横に振る。
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