ハーフ☆ブラザー 突然出てきた弟に溺愛されてます!
「ううん。あんたは大人よ。歳より、ずっとね。
自分の境遇を悲観してヤケになったり、私や父さんを恨んだりしてない分だけ。ちゃんと、自分で受け止めているし……」
「……冷めているだけかもよ?」

おどけて肩をすくめてみせる大地を、正面から見据えた。強い口調で言い返す。

「そうじゃないでしょ。そういうとこ、見せてないだけなんじゃない?
あんた、自分のお母さんにさえ、やせ我慢して『いい子』を演じてみせてたんじゃないの? つらくない振りして」

大地は黙ってしまった。
表情を無くして、ただ、私を見つめていた。痛いほど、真っすぐに。

ややして、その瞳が宙をさまよった。力なく座りこみ、ひざを抱える。

「だって……そうじゃなきゃ、あの人も困ったと思うし……」
「困らせたくなかったんだ……?」

うん、と、か細い声が答えた。今にも泣きだしそうな表情だった。
急に、大地が小さな子供に見えて、思わず腕を伸ばし、抱き寄せてしまう。

「まいさん……?」
「偉かったね。きっと、あんたはたくさん、いろんなことを我慢して、お母さんの愛情、欲しがったんだろうね」

いまどきの子供なら、当たり前に与えられるだろう、物品の数々と引き換えに。

「お母さんは、ちゃんと応えてくれた?」
「…………まぁまぁ、かな」

ささやき似た声は苦笑まじりで、存分には得られなかったことを物語っていた。

それは、望んでも手に入らなかったのか、望むことすら諦めてしまったのか。どちらにせよ、満たされなかったのだろうと、思う。

力をこめて、大地の頭を抱きしめる。
どうしよう……胸が痛くて、たまらない。
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