ハーフ☆ブラザー 突然出てきた弟に溺愛されてます!
所有の証の片耳ピアス
1.求めても得られなかった『愛情』
「───じゃ、またあとでね、まいさん」
ウチの店自慢の“焼きたてシュークリーム”を一個買って、多香ちゃんいわく、「さわやかな風」を残し、大地は店を立ち去った。
ややして、ジャージ姿の女の子二人組がやって来た。
いつも片方の子が、シュークリームを一個だけ買って行くので、いかにも部活動帰りというスタイルと共に、印象に残る子達だった。
「シュークリーム1コください」
抑揚なく、いつものように女の子が言った。
予想通りの注文に受け答えを返して、ビニール手袋をはめ、アルコール除菌を行う。
シューポンプと呼ばれるカスタードクリームの入った装置を冷蔵庫から出し、作業台に載せた。
「あのー……」
シューポンプのノズルにシュー皮(店ではパフと言っている)を刺しこみ、クリームの注入を始めようと、ポンプのハンドルに手をかけた時だった。
「はい?」
作業中も会計時も、その子から声をかけられたことは、一度もない。
びっくりして手を止め、女の子の顔を見返す。
すると、毎度付き添いに甘んじているもう一人の子が、ニヤニヤしながら肩で女の子を軽く小突いた。
言っちゃいなよー、との声が、小さく聞こえた。
「……さっきの高校生と、付き合ってたりとか、するんですか?」
「え?」
「親しそうだったから」
「あー……えーと……」
返答に困っていると、二人は顔を見合わせた。“シュークリーム1コ”の子が、薄ら笑いを浮かべた。
「やめた方がいいですよー? 良くない噂、聞くし……」
「良くない噂って……?」
「ママ活してるとか~、そーゆーの!」
ウチの店自慢の“焼きたてシュークリーム”を一個買って、多香ちゃんいわく、「さわやかな風」を残し、大地は店を立ち去った。
ややして、ジャージ姿の女の子二人組がやって来た。
いつも片方の子が、シュークリームを一個だけ買って行くので、いかにも部活動帰りというスタイルと共に、印象に残る子達だった。
「シュークリーム1コください」
抑揚なく、いつものように女の子が言った。
予想通りの注文に受け答えを返して、ビニール手袋をはめ、アルコール除菌を行う。
シューポンプと呼ばれるカスタードクリームの入った装置を冷蔵庫から出し、作業台に載せた。
「あのー……」
シューポンプのノズルにシュー皮(店ではパフと言っている)を刺しこみ、クリームの注入を始めようと、ポンプのハンドルに手をかけた時だった。
「はい?」
作業中も会計時も、その子から声をかけられたことは、一度もない。
びっくりして手を止め、女の子の顔を見返す。
すると、毎度付き添いに甘んじているもう一人の子が、ニヤニヤしながら肩で女の子を軽く小突いた。
言っちゃいなよー、との声が、小さく聞こえた。
「……さっきの高校生と、付き合ってたりとか、するんですか?」
「え?」
「親しそうだったから」
「あー……えーと……」
返答に困っていると、二人は顔を見合わせた。“シュークリーム1コ”の子が、薄ら笑いを浮かべた。
「やめた方がいいですよー? 良くない噂、聞くし……」
「良くない噂って……?」
「ママ活してるとか~、そーゆーの!」