ハーフ☆ブラザー 突然出てきた弟に溺愛されてます!
本当は、映画というのは口実だった。
大地から少しでも長く二人だけで過ごしたいって言われてて、ドライブに行くつもりでいた。
だけど、押し黙っている大地との車中の空気にいたたまれなくなった私は、いつもの帰宅ルートから逸れずに、車を走行させたのだった。
「すみません。僕、お先に休ませてもらいます。……お休みなさい」
ペコリと頭を下げて、大地は自分の部屋に行ってしまった。
「……なんだ? 大地くん、具合いでも悪いのか? 顔色良くなかったぞ」
声を落として尋ねてくる父さんに、あいまいに笑い返す。
朝に作り置いた味噌汁を冷蔵庫から取り出し、温め直してテーブルの上にお椀を置いた。
「私、あとで様子を見てくるよ。父さんは、心配しないで。
ほら、コンビニ弁当だけじゃ、ダメだよ」
「……すまんな。なんだか、お前に大地くんの世話を、任せっきりのようで……」
箸を止めて申し訳なさそうに私を見る父さんに、いたずらっぽく笑い返す。
「実は、陰でイジメていたりしてねー」
「そうなのか!?」
「……なワケないじゃん。ちゃんと仲良くしているよ。あの子、素直だし」
仲良すぎて、父さんに言えないような『秘密』を抱えるほどにね。……と、自身で突っ込んでおく。
「それより、ずっと気になってたんだけど。
父さん、大地に対して、他人行儀すぎやしない? だいたい、自分の息子を呼ぶのに『大地くん』て何よ。『くん』て」
「あー……」
参ったといわんばかりに、頭をかく。ふうっ……と溜息をついて、父さんが言った。
「その……実は父さんも、どう接していいのか、分からないんだよ。男同士のせいか、妙な遠慮があってな。
大地くんの方も、そうじゃないか?」
「───確かにね」
私には、踏みこみ過ぎるくらいに、踏みこんできているのに。
父さんには、必要以上に関わらないよう、意識して距離を置いている風にも見える。
大地から少しでも長く二人だけで過ごしたいって言われてて、ドライブに行くつもりでいた。
だけど、押し黙っている大地との車中の空気にいたたまれなくなった私は、いつもの帰宅ルートから逸れずに、車を走行させたのだった。
「すみません。僕、お先に休ませてもらいます。……お休みなさい」
ペコリと頭を下げて、大地は自分の部屋に行ってしまった。
「……なんだ? 大地くん、具合いでも悪いのか? 顔色良くなかったぞ」
声を落として尋ねてくる父さんに、あいまいに笑い返す。
朝に作り置いた味噌汁を冷蔵庫から取り出し、温め直してテーブルの上にお椀を置いた。
「私、あとで様子を見てくるよ。父さんは、心配しないで。
ほら、コンビニ弁当だけじゃ、ダメだよ」
「……すまんな。なんだか、お前に大地くんの世話を、任せっきりのようで……」
箸を止めて申し訳なさそうに私を見る父さんに、いたずらっぽく笑い返す。
「実は、陰でイジメていたりしてねー」
「そうなのか!?」
「……なワケないじゃん。ちゃんと仲良くしているよ。あの子、素直だし」
仲良すぎて、父さんに言えないような『秘密』を抱えるほどにね。……と、自身で突っ込んでおく。
「それより、ずっと気になってたんだけど。
父さん、大地に対して、他人行儀すぎやしない? だいたい、自分の息子を呼ぶのに『大地くん』て何よ。『くん』て」
「あー……」
参ったといわんばかりに、頭をかく。ふうっ……と溜息をついて、父さんが言った。
「その……実は父さんも、どう接していいのか、分からないんだよ。男同士のせいか、妙な遠慮があってな。
大地くんの方も、そうじゃないか?」
「───確かにね」
私には、踏みこみ過ぎるくらいに、踏みこんできているのに。
父さんには、必要以上に関わらないよう、意識して距離を置いている風にも見える。