ハーフ☆ブラザー 突然出てきた弟に溺愛されてます!
大地の声音は、絶望的なまでに静かだった。
それは、求めても得られないものがあることを悟ってしまった者特有の、響きがあって。

──私は、息をついた。
ごまかすようにオレンジジュースを飲んで……浮かびかけた涙をこらえていた。

嘆きもせずに当事者の大地が話しているのに、なんのつらい目にもあっていない私が泣くなんて、おかしいから。

「だけど、僕は、やっとその一言を聞くことができたんだ。中学一年の、夏の終わりの……ひどく蒸し暑い日に。
深夜に帰ってきたあの人が、下着姿で僕の部屋に入ってきた、その時に」

…………え?

「ちょっ……ちょっと待って、大地……!」

思わず口をはさんだ。
続きを聞くのが、恐ろしくて。
胃が縮み上がって、吐き気をもよおしそうになる。

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