ハーフ☆ブラザー 突然出てきた弟に溺愛されてます!
私は目をつむった。
ふたたび深呼吸して、両手を握りしめた。

「否定は、しないけど。
でも、私が気になるのは、あんたが……大地自身が、お母さんと関係をもつことを、本当に望んでいたのかって、ことよ」
「うん。望んでいたよ。僕はあの人に、喜んで欲しかった」

微塵(みじん)のためらいもない大地の答えに、胸がしめつけられる。
泣きだしそうになるのを懸命にこらえながら、口を開いた。

「それしか、もう……あんたには、残されてなかったんじゃないっ……!」
「まいさん……!?」

大地が、ベッドから私の方に、身をのりだしかける。
けれども、躊躇(ちゅうちょ)したように、姿勢を元に戻した。

「たくさん……いろんなことを頑張って……なのに、あんたのお母さんが、あんたに望んだのは、そんなこと、なの? どうして……」
「──独りではいられない、寂しい人だったんだよ。男がいないと、駄目な人。
若い頃は、それでも自分の望む(ひと)が、寄ってきたんだと思う。でも、年齢(とし)を重ねれば、それもだんだん難しくなって。
……僕の存在に気づいたんだろうね。自分の言いなりになる、子供(オトコ)に」
「何よ、それ! 意味解んないっ……」

吐き捨てるように言うと、大地はさもおかしそうに噴きだした。

「……だよね? まいさんとは、正反対の人だったから。
まいさんは、たとえ自分が寂しくても、誰かを利用してまで自分を満たそうだなんて、思わないだろうけど。
あの人は、自分が寂しかったら、どうしようもなくて、自分を抑えることができない人だったんだ。
──そういう(ひと)、だったんだ……」

大地は自分の左耳に手をやった。指先で、ピアスに触れる。
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