ハーフ☆ブラザー 突然出てきた弟に溺愛されてます!
「分かったなら、いいわよ。
じゃあ、もう夜も遅いし、早くお風呂に入って寝なさいね?」

大地から空のグラスを受け取って、部屋をあとにしようとした。

「──あのさ、まいさん」
「なに?」

呼びかけに振り返ると、大地のすがるような眼差しとぶつかった。

「あの……僕のこと、嫌いになった? 自分の母親としてただなんて……気持ち悪いって、思ったんでしょ?」
「あー……」

空いた一方の手で、額を押さえてうなった。

「……それ言ったら、自分棚上げすることになるじゃん、私。
私が気持ち悪いって感じたのは……その……あんたのお母さんが、あんたを虐待してたって、トコロ」
「──じゃあ、僕のこと、嫌いになったりしてない?」

もう一度、同じ質問が繰り返される。
乱暴に片手を振って、大地を軽くにらみつけてやった。

「してないから、早く寝なっ。女々しい男は、嫌いになるよっ?」
「……はーい」

大地は肩をすくめ、それから、いつものように、ふふっと笑った。

*****

うとうとと、眠りにつき始めた時だった。
部屋の扉が、カチャリとひそやかな音を立てた。

するりと忍びこんできた人影に、思わず声をあげかけ、とどめた。
いたずらっぽく笑って、大地は唇に人差し指を立ててみせた。

「──っ……あんた、何!?」

声を押し殺して問う。
悪びれもせず、大地はベッドに潜りこんできた。
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