ハーフ☆ブラザー 突然出てきた弟に溺愛されてます!
そっと腕を外させると、大地が眉を寄せて見返してきた。震える指先で、私の唇に触れてくる。

「駄目って、言ったのに……」
「ホント、ごめん! もうしないから」

大地は首を振った。違うよ、と、哀しそうに続ける。

「まいさんの可愛い唇や綺麗な指で、僕の不潔な部分に触れて欲しくなかったんだ。
まいさんの中に、僕の(けが)れたものが入っちゃうなんて…そんなの、嫌だよ」

私は絶句した。
……またしても、大地ルールについていけない。意味わかんない。

「あんた……なに、言ってんの?
そもそもセックスなんて、互いの細菌交換の最たるものじゃない。
キスだって、そうだし。
それともなに、性感染症にでも、(かか)っていたりするワケ?」

大地は乱暴に首を振った。

「細菌とか、感染症とか、そういうことじゃないよ……! まいさんが穢れちゃうんだ。
だから、まいさんの中に入る時は、ちゃんとゴムしとかなきゃ駄目なのに……」

理屈が通っていない。根本的に、何かが間違ってる。
……なんで?

「大地……あんた、どうしてそう思うの?」
「えっ。だって、汚いって言われたし……あの人に。
『あなたのコレも出す液も汚いんだから、きちんとコンドームつけて』
って。
僕……一度、あの人の身体にかけちゃったことがあって……。
『わたしのこと満足させないうちに、なんであなたは、わたしの身体を汚すのよ』
って、怒られたんだ」
「そんなこと言ったの? あんたのお母さん」

こくんと、大地がうなずく。

何もかもがムチャクチャ過ぎて、どうしてくれようかと怒りがわいてくる。
けれど、その矛先には、もう相手が存在しないのだ。
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