ハーフ☆ブラザー 突然出てきた弟に溺愛されてます!
全身の力を抜くように、大きく息をつく。

女性を悦ばす(すべ)を、教えこまれたのだろうと思っていた。
でも、それは本当に、一方的な奉仕のようなものだったのかもしれない───。

まるで大地を、性奴隷のように扱っていたのかと思うと、いたたまれなくなる。
愛情というものが……こんなにも存在しない間柄だったなんて。

私は、大地が自ら『不潔な部分』と言ったそこに、くちづけた。びくり、と、大地が身を震わす。

「まいさん……!」
「───あのね、大地。よく聞いて。
私、大地が好きだって、言ったでしょ? それは、肉体(そと)精神(なか)も全部を愛おしいって、思うことなのよ。
だから、指で唇で舌でもって、あんたの身体の隅々まで、私は触れるわ。それが……私にとっての、好きって、ことだから」

知らない国の言葉を聞くように、大地は、まばたきもせず私を見ていた。
直後、まっすぐに向けられた瞳が、何かを探すように、そらされる。

ややして、私の言ったことの意味を理解したのか、宙をさまよっていた瞳が、ふたたび私に焦点を合わせた。

「僕の、は……汚なくなんか……ない、の……?」
「大地が二日も三日もお風呂に入ってないって言ったら、さすがに私も考えるけどね」

ゆっくりと、大地の顔に笑みが浮かぶ。

「考えるだけなんだ?」
「訂正。風呂入れって、怒鳴りつける」
「ふふっ。だよねー」

今度ははっきりと、声を立てて大地は笑った。あわてて大地をたしなめる。

「シーッ!」
「……ごめん」
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