ハーフ☆ブラザー 突然出てきた弟に溺愛されてます!
「……じゃあ、行くところ考えておいて。休みが合ったら、連れて行ってあげるから」
「うん。ありがとう!
……あ、でも本当に、まいさんがいてくれるなら、どこでも───」

大地の言葉をさえぎるように、来客を知らせる呼び出し音が鳴った。

「誰だろ……」
「セールスとかかもしれないし、僕、出てあげるよ」

立ち上がりかけた私を制し、大地がインターホンに歩み寄る。

「はい。どちら様……───少々、お待ちください」

横顔がわずかにくもる。受話器を置いて、大地は暗い声で言った。

「まいさんの、おばさんだって……。なんか、怒ってるみたいだ……」

*****

母さんの六歳上の姉である聡子(さとこ)伯母さんは、大地を見て、いまいましげに溜息をついた。

「まったく……私が気づかずにいたのをいいことに……!」

残暑はまだ厳しく、日中は陽ざしが肌に痛いくらいに強かった。

室内はエアコンを入れて快適に過ごせるようにしているものの、外から来たばかりの伯母さんは、バッグから扇子を取り出し、自らをあおぎだした。

恭一(きょういち)さんも、何を考えているんだか。
いまさらこんな……認知もしてない子を引き取るだなんて。お人好しにも、ほどがありますよ!
親戚たらい回しにされたら気の毒だって、そんなこと、百も承知で産んだのだろうに。
それが嫌だったら、堕胎すればいいだけの話でしょう。
道に外れた子を産んで、人並みに扱ってもらおうだなんて、厚かましいったらありゃしない」
「伯母さん!」
< 67 / 115 >

この作品をシェア

pagetop