ハーフ☆ブラザー 突然出てきた弟に溺愛されてます!
「うん。そうしてあげて。じゃあね」

電話を切って、息をつく。

今日の出来事は、大地もショックが大きかったのだろう。
伯母さんが帰ったあと、いつも通りをよそおっていたけど……時折、沈んだ顔をしていた。
私に気づかれたと分かると、わざとおどけたりして。その姿が、よけいに痛々しかった。

ふわり、と、ボディシャンプーの香りが、鼻腔(びこう)をくすぐった。
ソファーに腰をかけていた私に、大地が後ろから腕をまわし、寄りかかってきた。深い溜息と共に言う。

「……僕たちのことが伯母さんにバレたら、僕、伯母さんに殺されちゃうかなぁ……?」
「───その前に伯母さんショック死するだろうから、無駄な心配、しなくていいわよ」
「あはは……まいさん、ホント、毒を吐く人だね」

私をあお向かせ、大地は私の唇に指を()わせた。愛おしむように、指先が唇をなぞっていく。

「……こんなに、可愛い唇なのにね……」
「───あんたのお母さんのこと、悪く言って、ごめん」
「え? ……あぁ。ホントのことだから、気にしないで」

今ようやく思いだしたというように、なんでもない素振りで大地は言った。
それでも私は、ソファーから立ち上がり、大地に向き直った。

「真実そうであっても、口にだして良いことと、悪いことはあると思うわ。だから……ごめんなさい」

頭を下げる。大地の手が、私の肩口に置かれた。

「謝らないで。まいさんが僕を、伯母さんから守ってくれたこと、僕、すごく嬉しかったんだよ? ほら、もう顔を上げて?」
「───大地……」

ゆっくりと身を起こして、大地を見た。
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