ハーフ☆ブラザー 突然出てきた弟に溺愛されてます!
ふふっと笑って、大地はソファーを回りこみ、私の側へと寄ってきた。こちらをのぞきこむ。

「ねぇ、まいさん? 僕、あまりにもまいさんのことを好きになりすぎて、おかしくなりそうだよ……」

言った唇が私の唇を奪い、サマーニットの上からブラのホックを外された。
すかさず(すそ)から入りこむ指先を片手で押さえ、もう一方の手でデコピンを見舞ってやる。

「いたッ」
「おバカッ。父さんがもうじき帰って来るのに、何考えてんの、あんたは! あんたの頭ん中、ソレしかないわけ?」

弾かれた額を押さえて、大地は一瞬、真顔になる。それから、押さえられた方の指先でもって、私の指を握り返した。
そのまま自らの口元に寄せ、私の指先にキスをする。

「……僕も、自分がこんなに、年中ソレしかない人間だとは、思わなかったよ。きっと……まいさんが、いけないんだ」

頬を傾け、ふたたび唇を、私の唇に割りこませてきた。私の髪に手を入れて、深く強く、私を求めてくる。

「……まいさんが……僕の理性を狂わせるから……」

透明なはずの声音が、熱にうなされたように、かすれる。
相変わらずの艶っぽいささやきに、心も身体も感じてしまう。

……こいつは、いつもそうだ。
私の中の、常識や倫理や節度といった固定観念を、容易にくつがえしていく。
そんなものは、胸に宿った熱情や、肉体を翻弄(ほんろう)する情欲の前では、無意味で愚かでしかないのだと、身をもって体現するように。
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