ハーフ☆ブラザー 突然出てきた弟に溺愛されてます!
私に言えるべきことは、何もなかった。大地も恐らくそうだろう。
膝の上で、父さんは組んだ両手を強く握りしめた。
言いにくそうに唇をひき結び、それから大地を見た。
「だからというわけではないが、私には、正直、君と私のあいだに本当に血の繋がりがあるのかどうか、分からないんだ。実感がもてないというか……」
「父さん! いまさら何言ってるのよ、大地を引き取っておいて!」
「しかしな……」
「───分かります。お父さんがそう考えるのも、無理はないと思っていました。実際、母の男性関係は、派手でしたから。
僕だって、刷り込みのようにお父さんの写真を見せられたり、まいさんのことをお姉さんだって教わってなかったら、信じられなかったと思いますし」
「大地……」
やっぱコイツ、物分かり良すぎだ。
本当なら、怒ったって、いいはずなのに……!
そう思う一方で、これが大地の処世術なのかもしれないと、気づく。
そうやって大人に理解を示しておけば、邪険にされることがないと知っての。
大地は、そうすることでしか、大人と向き合えないのだ。
一番身近にいた母親に、嫌われたくない一心で身につけたであろう処世術───なんて、不憫な子だろう……。
「彼女と付き合っていたのは、今から十八年くらい前になるから……時期としては合っているし、何より、本人がそう言っているんだ。間違いないだろう。
そう思って、大地くんを引き取った。
だが、日を追うにつれて、君と距離をおいてしまう自分に気がついた。
大地くん、君もそうだろう?」
膝の上で、父さんは組んだ両手を強く握りしめた。
言いにくそうに唇をひき結び、それから大地を見た。
「だからというわけではないが、私には、正直、君と私のあいだに本当に血の繋がりがあるのかどうか、分からないんだ。実感がもてないというか……」
「父さん! いまさら何言ってるのよ、大地を引き取っておいて!」
「しかしな……」
「───分かります。お父さんがそう考えるのも、無理はないと思っていました。実際、母の男性関係は、派手でしたから。
僕だって、刷り込みのようにお父さんの写真を見せられたり、まいさんのことをお姉さんだって教わってなかったら、信じられなかったと思いますし」
「大地……」
やっぱコイツ、物分かり良すぎだ。
本当なら、怒ったって、いいはずなのに……!
そう思う一方で、これが大地の処世術なのかもしれないと、気づく。
そうやって大人に理解を示しておけば、邪険にされることがないと知っての。
大地は、そうすることでしか、大人と向き合えないのだ。
一番身近にいた母親に、嫌われたくない一心で身につけたであろう処世術───なんて、不憫な子だろう……。
「彼女と付き合っていたのは、今から十八年くらい前になるから……時期としては合っているし、何より、本人がそう言っているんだ。間違いないだろう。
そう思って、大地くんを引き取った。
だが、日を追うにつれて、君と距離をおいてしまう自分に気がついた。
大地くん、君もそうだろう?」