ハーフ☆ブラザー 突然出てきた弟に溺愛されてます!

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翌日は、その日届いた大地の引っ越しの荷をほどくことになった。

大地の部屋としてあてがったのは、もとは客室として使っていた部屋だ。

折り畳み式のベッドと木製の丸テーブル、ピーコックブルーのカーテン以外は、なんのインテリアもなかった。
……しかもここ数年は、本来の用途に使うことがないせいで、すっかり我が家の物置き部屋と化していた。
よって、大地と二人、それらを片付けつつ掃除する。

「……太宰治……夏目漱石……川端康成……島崎藤村……星新一? あんた何、コレ、全部読んだわけ?」
「うん。面白いよ。漱石の『草枕』とか。
冒頭の一文から引き込まれたし」
「ふーん」

私なんて、夏目漱石は『吾輩は猫である』しか、知らないんだけど。
しかも、有名なあの「名前はまだない」の冒頭だけだし。

「まいさんは、マンガが好きなんだね。
しかもこれ……少年マンガが多いよね?」

あまりにも巻数が増えすぎて、何十冊かまとめて置いていたそれを、大地は手に取ってパラパラとめくった。
……なんか、妙~に悔しいんだけど。

「いいじゃないのよ。大人だって、息抜きは必要なの!」
「悪いなんて言ってないよ。僕、マンガって、あんまり読んだことないから。借りて読んでもいい?」
「いいけど……マンガ読んだことないって、お母さんの教育方針か何か?」
「まさか。単に、買うお金が無かっただけ。
ここにある本も、小学校の時に図書室に通いつめていたら、先生が古くなったものを譲ってくれたんだ」

ちょっと笑って、大地はカラーボックスに本を並べていく。
……地雷、踏んじゃったか、私……。
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