ハーフ☆ブラザー 突然出てきた弟に溺愛されてます!
絆をつなぐ碧色のマフラー

1.姉弟の絆

DNA鑑定をしてくれるところなんて、限られているとは思っていたけど───案の定、数は少なかった。

もちろん、ネットを通じての簡易な鑑定などもあったようだけど、父さんは、やるからには精確を期したいと、知り合いのつてを頼った。
最寄りの駅から電車で片道二時間ほどかかる場所にある、大学病院に依頼することにしたのだ。

大地は親子鑑定をあっさり承諾しただけあって、父さんと二人、話がでた日の翌週末には、鑑定を受けに行ってしまった。
……結果は、二週間後に出るという。

「僕よりまいさんの方が、鑑定結果、気にしてるよね」

映画を観て帰る、というのを父さんへの口実にしての、何度目かの夜のドライブ中。
車窓に流れる景色を見ながら、大地がぽつりと言った。

「まいさんにしたら、僕と血が繋がってない方が良いんだよね? 最初の頃、姉弟でエッチするの嫌がってたし」
「あ、当たり前じゃない!」

つまらなそうに言う大地に、強く抗議の声をあげる。

どこの世界の人間が、自ら進んで姉弟で肉体関係もちたがるっていうのよ。あんたぐらいなものよっ。

「……あんたは、私と血が繋がっている方が良いんだ? こんな関係になっても」

厭味(いやみ)のつもりだった。
否定して欲しくて、でてきた言葉。

───惰性で走らせた車は、目的地に着いていた。
夏には、避暑に来る人々でにぎわうリゾート地。けれども、シーズンオフの今は、ただの奥深い山中だった。
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