ハーフ☆ブラザー 突然出てきた弟に溺愛されてます!
「僕と同じように、まいさんが考える必要は、ないと思うよ。だから……そんな顔、しないで。
……それでも、僕のこと、好きでいてくれるんでしょう?」

私は大地の手のひらを返した。逆手に持ちかえて、大地を彼が背にしたシートに押さえつけ、唇を奪った。

「……っ……びっくり、した……」
「……いい歳して、カッコ悪い……」

目じりに涙がにじんだ。
……何やってんだ、私。

自分に突っ込みながら、もう一度、改めて大地にキスをした。

シートが倒されて、大地の上に馬乗りになった。
大地の頬に、しずくが落ちる。あわてて指を伸ばして、その頬をぬぐった。

「ごめん……」
「いいけど……もう終わり? せっかく、初めてまいさんの方から攻めてくれたから、ドキドキしてたのに」

大地の指が、私の目元を優しく撫でた。ふふっと、いつものように大地が笑う。

「この角度で見るまいさんも、いいね。泣き顔も、すごくセクシーだし」

大地の腕が背中にまわされて、壊れものをあつかうように、そっと抱きしめられた。

「なのに……なんでだろう。胸が、苦しいよ……」

抑揚のない大地のささやきに、私はこらえきれずに泣きだした。

「───ねぇ、まいさん? 星が、すごく綺麗だよ。
まいさんのさっきの涙も、光のつぶが落ちてきたみたいで綺麗だったけど……こんなに苦しくなるなら、もう二度と、見たくはないな」

やわらかく澄んだ優しい声音を聞きながら、私は、大地の肩口を涙で濡らしていた。





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