ハーフ☆ブラザー 突然出てきた弟に溺愛されてます!
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姉弟だという事実を、私は、不思議と自然に受け入れていた。

考えてみれば、私たちの前提は、初めから『姉弟』であったのだから……。

実感のないまま、肉体の欲望にのまれて。
恋愛の手順さえ誤って。
けれども、すでに心は、離れられないほどに繋がっていた。

それが『姉弟の絆』だというのなら、愛情の形を問うのは、馬鹿げている気がした。

───あぁ、そうか。
大地。
あんたが言っていたこと、今なら解るよ───。

自分の思いつきに自嘲的に笑って、私はロッカーの扉を閉めた。

「お先に失礼します」
「お疲れさまです。……デートですか? いいな、楽しそうで」

少し離れた位置で着替えていたバーガーショップの子が、冷やかしまじりに声をかけてきた。

私はただ笑って、お疲れさまです、と、彼女に返した。





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