ハーフ☆ブラザー 突然出てきた弟に溺愛されてます!
2.望むもの全部、あげる
*****
いつものように、仕事場と同じ敷地内のファミレスで食事して。
いつものように、従業員駐車場へと、大地と二人、歩いて行く。
「……ねぇ、まいさん。たまには少し、歩かない?」
自転車道路から駐車場へは、三段ある石の階段を降りて行くようになっていた。
大地の指は、駐車場には向かわずに、まっすぐに続く、自転車道路を指していた。
「歩くの?」
眉をひそめる。
自転車道路は、右手にある駐車場が切れると、両脇を竹林と河川に挟まれていた。
等間隔にある街灯以外は何もない、薄暗い夜道だった。
絶対に一人では、必要もないのに歩きたくなんかならないところだ。
「散歩だよ。僕と一緒でも、ちょっと怖い?」
私の心中を見透かしたように、大地はいたずらっぽく笑った。悔しまぎれに言い返す。
「ある意味、あんたと一緒ってのが怖いけど……まぁいいわよ、付き合うわ」
「やった! 手、つないでもいい?」
「……もうつないでるじゃん」
私の返事を待たず、言葉と同時にさらわれた片手に、ムッと大地を見上げる。
「そんな不機嫌にならないで。可愛い顔が、台無しだよ?」
大地に手を引かれ、よろめくように自転車道路を歩き始めた。
ふふっと、楽しそうに大地が笑う。
「僕、誰かと手をつないで歩くなんて、初めてだ」
お母さんとは、つながなかったの? と、言いかけて、やめる。
……つながなかったから《初めて》なんだ。
せせらぎの音と、鈴虫の鳴き声。
重なるように、遠くで車が行き交う音がする。
いつものように、仕事場と同じ敷地内のファミレスで食事して。
いつものように、従業員駐車場へと、大地と二人、歩いて行く。
「……ねぇ、まいさん。たまには少し、歩かない?」
自転車道路から駐車場へは、三段ある石の階段を降りて行くようになっていた。
大地の指は、駐車場には向かわずに、まっすぐに続く、自転車道路を指していた。
「歩くの?」
眉をひそめる。
自転車道路は、右手にある駐車場が切れると、両脇を竹林と河川に挟まれていた。
等間隔にある街灯以外は何もない、薄暗い夜道だった。
絶対に一人では、必要もないのに歩きたくなんかならないところだ。
「散歩だよ。僕と一緒でも、ちょっと怖い?」
私の心中を見透かしたように、大地はいたずらっぽく笑った。悔しまぎれに言い返す。
「ある意味、あんたと一緒ってのが怖いけど……まぁいいわよ、付き合うわ」
「やった! 手、つないでもいい?」
「……もうつないでるじゃん」
私の返事を待たず、言葉と同時にさらわれた片手に、ムッと大地を見上げる。
「そんな不機嫌にならないで。可愛い顔が、台無しだよ?」
大地に手を引かれ、よろめくように自転車道路を歩き始めた。
ふふっと、楽しそうに大地が笑う。
「僕、誰かと手をつないで歩くなんて、初めてだ」
お母さんとは、つながなかったの? と、言いかけて、やめる。
……つながなかったから《初めて》なんだ。
せせらぎの音と、鈴虫の鳴き声。
重なるように、遠くで車が行き交う音がする。