ハーフ☆ブラザー 突然出てきた弟に溺愛されてます!
「僕はずっと、僕の側にいてくれる人を探していた。
あの人……母親は、違っていた。初めから、なかったような関係だった。

でも、あの日。
まいさんと、初めて向かい合って、自己紹介した時……まいさんとの間に《それ》があると思えて、嬉しかった。

姉弟だから感じられるんだって、思った。だからまいさんも……僕を好きになってくれたんだって、思った。
なのに……姉弟じゃないなんて……。

お願いだよ、まいさん。
せめて、まいさんは喜んで?
嬉しいって、言ってよ。
そうしたら僕も、あきらめられる気がする……」

狂ったように話し続ける大地に、声がかけられなかった。
けれども、大地の漏らした一言が、私の心に火花のような熱い痛みをもたらした。

「───あきらめるって、何を?」
「まいさん……」
「あんたは、何をあきらめるって言うの? ずっと探していたっていう、側にいてくれる人? 私たちが姉弟でなかった事実を、受け入れるってこと? それとも───」

最後の一言を強調するために、大きく息を吸った。挑むように、大地を見据える。

「私を好きだって言ってくれた、想いを?」
「───僕は……」

困惑したように私を見返し、大地は首を振った。(のど)もとを押さえる。

「僕、は……」
「───私だって、嬉しくなんか、ないわよ」

大地が目を見開く。予想外だったのだろう。
私の言葉は、さらに大地の声を失わせた。
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