ハーフ☆ブラザー 突然出てきた弟に溺愛されてます!
四段あるプラスチック製のチェストに、衣類をつめこみ始めた大地の横顔を、盗み見る。

私と血が繋がっているとは思えないほどの、整った目鼻立ち。お母さん似なんだろうな。

染めているのか地毛なのか、判断のつかない髪は、栗色の無造作ヘアだ。
よく見ると、片耳にはピアスが刺さっている。

……一見、チャラい容姿だよね。
とても、愛読書は『草枕』だなんて、想像もつかない。

当然、女の子にもモテるだろうし、彼女もいるのだろうと思ったんだけど、
「ううん、いないよ。
同世代の子って、自分勝手で下品な子が多くて……興味ないんだ」
なんて、のたまうた。……もったいない。

私がそう言うと、
「えー? そうかなぁ?
好きでもない子と付き合って、世間並みのことをする……なんて、その方が時間の無駄だと思うけど」
「時間のムダって、あんた……。
まぁ、そういう考え方も、あるかもしれないけどさ。
私がもし、大地みたいなルックスで男だったら、片っ端から寄ってくる女の子と付き合っちゃうなー。
だって、高校生って、そういうものじゃん」

部屋の片付けを終え、私達は夕食の準備をしていた。

二人して、せっせと餃子の皮にあんを詰めていたのだけれど(マジで大地は料理慣れしてる)ピタリと手を止め、大地が息をついた。

「なんか、まいさんって高校生に対して、偏見があるんじゃない? 僕の同級生、モラルとかマナーちゃんとしてる奴の方が多いし」
「あー、ゴメン。思いこみで言ったんじゃなくて。
私、高校生の頃、男女交際に疎くって、まともな恋愛したのが、ハタチ過ぎて社会人になってからでさ。
それで……学生の頃にそういった経験なかったから、少し後悔してるんだよね」
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