ハーフ☆ブラザー 突然出てきた弟に溺愛されてます!
「笑っちゃうわよね。姉弟で恋愛関係にあることに、罪悪感があったはずなのに。
姉弟じゃないって解って、急に……()り所を失った気がしたわ。
───私も、大地と同じように考えていたんだと思う。血が繋がっていれば、離れることはないって。
物理的に離れたとしても、血の繋がりという絆で、一生切れない縁ができるって、解ったから。
私も……大地がずっと側にいてくれるって思えて、嬉しかった」

手の中の、私たちが姉弟ではないという証を、大地に突き返す。

「でも、私たちに(それ)はなかった。少なくとも、姉弟間の絆はね。
私たちはただの……年の離れた、男と、女よ。
相手の言葉ひとつで、絆を感じたり感じなかったりする、不安定な間柄でしかないわ。

そういう関係だと、大地は恋愛できないの? 信じることが、できない?
それならそれで、確かにもう私たちの間には、一片の繋がりも残っちゃいないわ。
あんたはあきらめるって言ったものね。上等よ。お望み通り、言ってあげる」

私は笑った。
大地も、自分自身も、あざけるように。

「大地と姉弟じゃなくて、私、本当に嬉しいわ」

言って、きびすを返す。
来た道を、大地に指し示した。

「私は、一人でも行くわよ。少ないとはいえ、何人かの男と付き合って、別れてきたんだもの。
また繰り返すだけだわ。
また……私を本当に必要としてくれる存在を、探すだけ」

鑑定書を握りしめたまま、大地は身動(みじろ)ぎひとつしない。
宙を見据えたまま、私の言葉を聞いていたのかいないのか……なんの反応も示さなかった。
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