ハーフ☆ブラザー 突然出てきた弟に溺愛されてます!
「言っちゃった方が、僕は気楽なんだけどなー。だって、その方が気兼ねなく、まいさんとエッチできそうだし……」
「バカーッ! なに言ってんの、あんたはっ!」
「え? 何? なんで怒ってるの?
僕、全然、意味わかんないんだけど……」

……やっぱり、考えなさすぎだよ、私……。


*****


本当は一昨日(おととい)には、すでに完成していた《それ》を、渡しそびれていた。

ここ数年、他人(ひと)様のために、ひたすらラッピングを繰り返してきたせいか、必要以上に構えてしまったのは事実だ。

玄関先で父さんを見送って、続いて出て行こうとする大地を、呼び止める。

「なに? まいさん」
「……一日遅れてなんだけど……バレンタインチョコの、代わり!」

言って、後ろ手に持っていた碧色のマフラーを、大地の首にぐるぐると巻く。

気恥ずかしさのあまり、危うく大地を窒息させそうになってしまった。

口元を覆ったマフラーを、ぐいと喉元にまで下げて、大地は声を弾ませた。

「わー……、ありがとう!
昨日なんにももらえなかったから、違うものをもらおうと思って、夜中にまいさんの部屋に行きかけたけど……ふふっ、早まらなくて、良かった」
「……年中、早まりすぎなのよ、あんたは……」
「本当にありがとう。すごく嬉しい」

玄関のたたきとの段差のせいで、大地は難なく頬を傾けた。

くちづけを受け入れながら、大地の後ろ髪に手を伸ばした、瞬間、だった。
< 97 / 115 >

この作品をシェア

pagetop