一途な後輩に、秘密に溺愛されてます。



やっぱり浮かれてるんだと、思う。



「……ふふ」


「……どうしたんですか」


「んーん、悧來って案外かわいーとこあるじゃん」


「センパイは意外と意地悪なとこありますよね」


「それ、お返しするよ」




場所が変わってもいつも通りのやり取りをしている私たちは、周りの人たちからカップルと思われてるんだろうか。



この前なら、違うですよーっていうオーラを放っていたに違いないのに、今はそれを願ってる。


ほんとになれば、いいなって。




「……せんぱいも、でしょ」


「なに?」


「何でもないです」







休憩して、悧來がだいぶ落ち着いた頃。



「お手洗い言ってくる」と、座っていたベンチから離れた私。



向かう途中で、後ろから誰かに名前を呼ばれた。




「美澄……生徒会長?」



私の名前を知っている、聞き覚えのない声の主は誰だろう、とふりかえると。



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