一途な後輩に、秘密に溺愛されてます。
「もちろん。てゆーか、先輩が作ったら全部美味しいでしょ」
「そんなに褒めても、何も出さないからね」
じとっと見つめたら、「なんでそうなるんですか」って困ったような表情が返ってきた。
だって、仕方ないじゃん。
今日の悧來、いつもと全然違うんだもん。やたら褒めてくるし、……やたら、優しく笑うし。普段の意地悪な笑顔じゃないじゃん。
どうしたの?って聞きたくなるくらい、今日は変だ。
「……そういえば、誰かに私のお弁当を食べてもらうのは初めてかも」
「…本当?」
「ほんと」
そう言った途端、顔を背けられたけど、私の瞳はばっちり捉えてた。
悧來の、頬の緩んだ顔。
「じゃあ俺が一番乗りですね」
ひどく嬉しそうに弾ませた声が、晴天の澄みわたる屋上に響いた。