一途な後輩に、秘密に溺愛されてます。







「……はあ」



見事に、つぼみの桜の木の前で綺麗サッパリフラれた私。


私のため息からは、幸せがどんどん逃げていっているような気がする。



そんな幸せをかき集めるように、はなまた暗いため息から逃れるように、薄桃色の蕾たちがザアっと揺れた。



……かんぺき、ねえ。



私、美澄 恋奈はこの華清高校の生徒会長。加えて弓道部の部長でもある。



高めに設定したポニーテールは絶対に崩さないし、成績もぜったい落とさない。


部活では全国大会に出場して、胸を張れるであろう戦績も残した。


自分で言うのもなんだと思うけど、先生からも生徒たちからも信頼は厚いと思う。


“文武両道”ーーこの学校の、非常に模範的な生徒なんじゃない?



なのに……



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