一途な後輩に、秘密に溺愛されてます。
「ーーなのに、なんでこうも毎回フラれるんだよーーー!」
スターンと気持ちの良い音が弓道場に響く。もちろん的中、当然だ。
「お、すごーい的中じゃん。いったい恋奈フラれるの何回目ー?」
「な、な、か、い、め!」
それも全っ部同じ理由なの!
友達である綿乃咲菜に泣き声うめき声交じりの愚痴をぶつける。
自分に可愛らしさがないのは百も承知だ。そんなもの私は持ってない。……だけどさあ?いくら何でも酷くない?
文武両道で完璧の生徒会長の、いったい何がフラれる理由になるっていうの。
「もうやだあ……私男と付き合うのやめる…」
「それ言うのも何回目?来週には多分『やっぱり私を受け入れてくれる人さがす!』って言い出すよ、また」
「そんなに強調しなくてもいいじゃん……」
「あ、ほら。泣きべそかいてるとまーたイジられるよー」
「……げ」
ほら、と彼女に促された方向を見ると、最っ高に今会いたくない“奴”がにこにこ笑顔でやって来るのが分かった。