一途な後輩に、秘密に溺愛されてます。



「デートって誰と誰が?」


「恋奈センパイと、俺が」


「デートって恋人たちがやるもんでしょ?」


「男女で出かけたらもうデートって言わない?」


「……うむ……」



確かに、“デート”っていう言葉の範囲は広い。


だけど、悧來とデートって……なんだかむず痒いな。



「……うーん……」


「じゃ、センパイに美味しいケーキ奢るんで行きまーー」


「行く」


「……はあ」


「何でため息?」


「いや何でも……もう餌付けでもいっか」




行きましょ、という言葉と同時に、くるっと最寄り駅方面を向いた彼。


そして、手に何やら違和感。



「ちょ、手……!」



いつの間にか、悧來に繋がれてる!



「センパイ、今日はデートですよ?」



振り返って、にっと笑った悧來は妙に嬉しそうだったから、私も何も言わずにされるがままになった。



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