一途な後輩に、秘密に溺愛されてます。


「はい、センパイどうぞ」



ん、と口を開けて待つ彼は、準備万端みたいだ。


してやられた。こんなの、私が“あーん”しろって言ってるようなものじゃないか。



「……くそう」



ケーキをひとくち掬って、おずおずとそれを差し出す。


苺も乗っけてあげた。大サービスだ。


彼の前にもっていくと、悧來は私の手首をつかんでパクリ。



一瞬、脈が速まった気がするけど、彼には気づかれてないようで安心した。


あれ、私なんで安心したんだろ。



ていうか恥ずかしい。とてもじゃないけど目を合わせていられなくて視線を隣に寄越すと、似たようなことをしているカップルがいた。



< 49 / 131 >

この作品をシェア

pagetop